キャラクターやイラストを活用したビジネスでは、「商標登録」は比較的よく知られています。しかし、キャラクターそのものを守る中心的な権利は、実は「著作権」です。
著作権は“登録しなくても”発生する
著作権の大きな特徴は、原則として登録不要で発生する点にあります。
イラストやキャラクターを創作した時点で、自動的に著作権が発生します。
これは日本だけでなく、多くの国が加盟するベルヌ条約 の基本原則でもあります。
そのため、日本では、
- 「著作権を取る」
- 「著作権を出願する」
という感覚は、あまり強くありません。
しかし、海外実務では少し事情が異なります。特に、米国と中国では「登録」が非常に重要です。
米国 ― 「権利がある」だけでは足りない
米国でも、著作権自体は創作と同時に発生します。
しかし米国では、特に、著作権侵害訴訟との関係で、登録の有無が大きな意味を持つことがあります。
場合によっては、損害賠償額や弁護士費用請求にも影響するため、キャラクターやイラストを活用する企業の中には、米国で著作権登録を積極的に行っているケースも少なくありません。
また、Amazon等での侵害申告や模倣品対策などの場面でも、登録証が役立つことがあります。
実際にディズニーも著作権登録を行っている
実際に、米国ではキャラクター関連作品について多数の著作権登録が行われています。
下図は、米国著作権局(U.S. Copyright Office)で公開されている、ディズニー作品に関する著作権登録情報の一例です。

この登録では、
- タイトル:DISNEY KARAOKE SERIES: DISNEY MOANA
- 権利者:DISNEY ENTERPRISES, INC.
などが記載されています。
ここで興味深いのは、映画そのものだけでなく、「2-D artwork(2次元アートワーク)」についても登録されている点です。
米国では、このように、
- キャラクターアート
- 商品用イラスト
- 広告素材
- 映像用グラフィック
などについても、細かく著作権登録が行われることがあります。
中国では「模倣品対策」の武器になる
一方、中国では、著作権登録証が模倣品対策で非常に強力です。
例えば、
- ECサイト削除申請
- 行政摘発
- 税関差止
- 権利者証明
などの場面で、登録証が強く機能します。
特にキャラクターグッズやSNS発ブランドでは、模倣品の流通スピードが非常に速いため、
「先に登録しておく」
ことの意味が大きくなります。
実際、中国では、「アンパンマン」キャラクターに関する第三者の商標の登録異議申立てにおいて、日本側の中国における著作権登録が重要な役割を果たした事例があります。
商標権は、原則として「どの商品・サービスについて登録されているか(区分)」が重要になります。
例えば、第25類(被服)の登録があっても、第30類(菓子)まで当然に権利が及ぶわけではありません。
これに対し、著作権には、基本的に区分という考え方がありません。
そのため、キャラクターやイラストそのものについて、区分や指定商品等に関係なく、権利を主張できる可能性があります。
キャラクタービジネスでは「商標+著作権」の両輪が重要
キャラクターやイラストを活用するビジネスでは、
- 商標
- 著作権
- 意匠
- 契約
を組み合わせて保護することが重要です。
特に海外展開では、
「権利があるか」
だけではなく、
「それをすぐ証明できるか」
が、実務上大きな差になります。
その意味で、米国や中国では、「著作権登録」も重要な知財戦略の一つといえるでしょう。
鈴木 徳子
株式会社ブランシェ 代表/弁理士(弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所)
ウォルト・ディズニー・ジャパンにてキャラクターライセンス業務に従事。現在は、株式会社ブランシェにおいて企業のIP戦略・ブランド構築支援を行うとともに、弁理士として特許・商標等の権利化業務にも携わる。キャラクタービジネスや海外展開を見据えた知財戦略の立案を強みとする。

