サンリオ分析①|ライセンスビジネスから読み解く成長の構造

本記事は「サンリオ分析シリーズ」の第1回です。

サンリオの存在感が再び高まっている理由

最近、サンリオキャラクターを目にする機会が増えました。毎日電車の中で広告を見ていますし、この前、ゴルフウエアをネットでチェックしていてハローキティとのコラボウエアが販売されていることを知り、驚きました。サンリオキャラクターは私たちの生活にすっかり溶け込んでいるようです。

実は、私は小中学生のとき、サンリオキャラクターフリークでした。文具からファッションに至るまで、さまざまなキャラクターグッズを持っていました。学校から帰ってくると、自転車で30分かけて町の中心にあったサンリオショップに頻繁に出かけていました。おそらく、クラスで一番サンリオグッズを持っていたのではないかと思います。

年甲斐もなく、またキャラクターに対する愛着が芽生えてきて、がぜん興味がわいてきました。このような背景から、「なぜ再びサンリオが存在感を高めているのか」という点に興味を持ち、業績と戦略の観点から整理してみました。

ライセンス収入が成長の中核

端的にいうと、サンリオの成長は、「ライセンス収入を軸にしたビジネスモデル」と「複数キャラクターによる展開戦略」によって支えられていると考えられます。

公開されている資料によると、サンリオの2026年3月期(通期予想)は次のとおりです。

売上高:1,906億円
営業利益:751億円
当期純利益:520億円

前年と比べて、売上高は+456億円、営業利益は+232億円と大幅成長の見込みです。特に営業利益の伸びが大きく、収益性の高いビジネスモデルへの転換が進んでいることがうかがえます。

上方修正の主な理由として、以下の点が挙げられています。

① 日本のライセンス事業が好調

② 中国市場が好調

③ 欧州でキャラクターライセンスが拡大

また、2026年3月期第3四半期の経営成績を見ると、総売上143,194百万円のうち、ロイヤルティ売上高は70,517百万円を占めており、全体の約49%に達しています。
このことから、サンリオの成長の原動力は、ライセンス収入にあるといえます。

複数キャラクター戦略への転換

サンリオは2020年に社長交代があり、キャラクタービジネス戦略の大きな転換を図りました。それまでのハローキティ中心の戦略から脱却し、複数キャラクターの展開に力を入れ、実店舗やイベントを通じてキャラクターの世界観を体験させる取り組みを強化しています。さらに、SNS・アニメ・ゲームなどで積極的にコンテンツを展開することにより、キャラクターの露出度を高めています。

サンリオから得られる示唆

このようなサンリオの戦略はキャラクタービジネスを行う上で、学ぶ点が非常に多いと感じました。実務に携わっていた立場から見ても、非常に示唆に富む内容だと思います。

以下に、私なりに、重要だと感じた点についてまとめてみました。

1.顧客データの蓄積は基本のキ

顧客データがなければ、購買行動などの分析や、新規事業の検討が困難です。SANRIO+のような仕組みにより、顧客データを継続的に収集・活用することが重要です。

2.露出を増やし、ファンとの接点を維持する
SNS、イベント、実店舗、コラボなどを通じて接触頻度を高めることで、ファンの継続的な関与とリピート購買につなげていくことが重要です。

3.特定キャラクターへの依存はリスク
サンリオは、かつてハローキティに依存しすぎて業績が低迷していた時期がありました。今は、ハローキティ以外のクロミやシナモンロールなど、複数のキャラクターが収益を支えるまで育っています。

4.グローバル展開を前提とした戦略が大切
キャラクターは言語への依存度が低く、海外展開がしやすいビジネスです。さらに、かつては欧米では、キャラクター商品は「子供向け」という扱いでしたが、近年は欧米でも大人市場が拡大しつつあり、より柔軟に展開できるようになっています。

まとめ

キャラクタービジネスにおいては、単なる商品展開ではなく、ライセンス戦略・ブランド戦略・顧客データ活用を一体として設計することが重要だと感じます。

鈴木 徳子
株式会社ブランシェ 代表/弁理士(弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所)

ウォルト・ディズニー・ジャパンにてキャラクターライセンス業務に従事。現在は、株式会社ブランシェにおいて企業のIP戦略・ブランド構築支援を行うとともに、弁理士として特許・商標等の権利化業務にも携わる。キャラクタービジネスや海外展開を見据えた知財戦略の立案を強みとする。

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